【プラレール】電車箱(単品4代目箱)の新考証および箱の差異について

プラレールの歴史の中でも未だに謎が多い単品4代目の箱、通称「電車箱」。上下箱から移行した1976年から1978年あるいは1979年初頭のEC箱登場まで生産されていたと考えられ、現行(10代目)の箱の元となっています。

そんな電車箱ですが、従来の箱から構造もデザインも一新したため試作要素が強いものだったと思われ、短い発売期間の間に何種類ものバリエーションが世に出ていたことが確認されています。大まかには2種類あり、商品名が箱にステッカーで貼られているタイプと、印刷されているタイプの2つに分けられます。

今回、同一の製品で2種類の箱を揃えることが出来ました。そして今までの考証が間違っていたことが判明したのでここに記しておきます。

まずは従来の考証。

敬慕するプラレール博物館様のプラレール車両展示室:その4では

推定ですが、発売当初は、全ての車両に専用の箱を用意していたのではないでしょうか?
そして、最初のロットの箱がなくなったときに、名前をシール貼りにした汎用の箱に切り替えていったのではないかと思います
ということは…「ニューひかり号」「寝台特急」「電車」などにも専用の箱が存在しているのでしょうか?

と考察されており、当ブログや我がプラレール資料館では上記の説を採用し、発売順は印刷箱→ステッカー箱であると推測しました。

余談ですが、資料館では商品名が印刷されているものを「専用箱」、ステッカー貼りのものを「汎用箱」と便宜上区別しています。
これはプラレール博物館の記述

そして、「パノラマ特急」の専用の箱のものも入手いたしました
以前入手したものは、シールで「パノラマ特急」と貼っているだけの汎用の箱でしたが

を参考に通称を付けています。

博物館での記述をもとに、「ニューひかり号」の専用箱を入手した際の記事では

専用箱の在庫切れ(?)と同時にどういうわけか「ニュー」を付けたようです。ニューひかり号と入れ替わりで廃盤になった旧型(ちょうとっきゅうひかり号)と区別する意味合いがあったのでしょうか?

と書きましたが、これは誤りでした。

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上段が「EC01 ひかり号」、中段が新たに入手した「ニューひかり号」、下段が以前入手した「ひかり号」です。
電車箱はどちらも、トミーの会計年度=製造年度を示す付番はG-26(1977年3月〜78年2月)、玩具安全基準を満たしていることを示すSTマークはM2162046であり、生産が同年・STマークが同一であることから製品としても同一だということが分かります。EC01はG-27(1978年3月〜79年2月)で、次年度の生産です。

商品名以外の大きな違いは箱裏面の「あそびかた」にありました。
ニューひかり号(汎用箱)では、車種によって異なる先頭車カバーの取り外し方とスイッチの位置を当時のラインナップの商品名で示しています。(このタイプを以下タイプⅠとします)
なぜか漢字表記になっていますが、この「ニューひかり号」と上下箱時代の旧「ひかり号」が併記されていることから、1976〜77年半ば頃までの間は上下箱と電車箱が並行して生産されていたことが窺えます。
ひかり号(専用箱)になると、乾電池の入れ方をABC-abcの組み合わせで示すようになり、C-12の注釈を除いてラインナップ一覧が削除されました。(以下、タイプⅡ)
この大文字小文字の組み合わせはEC箱にも継承されています。つまり、専用箱は汎用箱よりも後に発売されていることになります。

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ちなみに「パノラマ特急」他にタイプⅡの汎用箱がある事が分かっており、上下箱から続投となる車種にはこのタイプが採用されていると考えられます。(注・「ニューひかり号」は電車箱からの新製品)
他の現存個体がほとんど見つかっていないので要調査案件です。

電車箱からEC箱に至る時系列が分かったので、次は専用箱と汎用箱の差異についてです。

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汎用箱ではイラストや文字に黒いインクが、専用箱では茶色のインクが使われています。ロゴの色も若干異なります。

違うのは箱だけで、中身は変わらないものだと思っていたのですが...

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なんと、ニューひかり号の方はパンタグラフがシルバー寄りのグレーに成型されていたのです。ひかり号の方は見慣れた薄いグレー。
どういう意図があって変えたのかは不明ですが、前者がかなりのレアものである事に間違いはないでしょう。

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そんなこんなでEC箱含めて3種類の箱が揃った、青い鼻を持つ「ひかり号」。このうち、EC01と専用箱ひかり号がこの20年近くネット上にほとんど姿を現していなかったというのがかなりの驚きです。

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以前バラで入手したものも取り出して青鼻ひかり号4本を並べて記念撮影。
ライト付もいいですが、私はやっぱりこっちの方がオシャレでお上品な感じがして好きです。

というわけで、今まで不明だった電車箱についての新発見情報をまとめました。あくまでひかり号での事例なので、上記のパノラマ特急や寝台特急、1両単品のC-12やD-51なども調査したいものです。