【プラレール】プラレール40thアニバーサリーアルバム

1999年、プラレールは40周年を迎えました。それを記念して多くの記念品やイベントが企画され、当時存在したファンクラブ限定のものも発売されました。

それが「プラレール40thアニバーサリーアルバム」です。

プラレールファンクラブ情報誌「PLARAIL Poppo!」第4号の誌面上での通信販売のみの流通で、3000セットが発売されました。

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プラレール史上初の5編成入りセットになります。

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絶版品、現行品のカラーバリエーションと復刻品という組み合わせです。

1本ずつ紹介していきます。

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1959年発売、プラスチック汽車。「40thアニバーサリーセット」では赤いバージョンが復刻されたので、こちらでは黄色となりました。

あまり知られていませんが、別に復刻品オリジナルカラーというわけではなく、実際に当時発売されていたカラーバリエーションです。

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1961年発売、電動プラ汽車。こちらも先に黒色の方が復刻されたので、赤い方が登場。

本来の赤い個体は若干くすんだ色だったらしく、復刻品では見栄えを考慮してか明るい色となりました。

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1971年発売、D-51急行列車。細かい事を言えば発売当時の商品名は「D-51きゅうこうれっしゃ」なのですが、オタク特有の指摘はこの際置いておくとしましょう。

当時のものと異なり、何故か客車の帯が車体裾に付いています。単純に間違えたそうです。

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1979年発売、ライト付ひかり号。1996年に絶版となっていたので、3年ぶりの復活です。

1999年当時のラインナップにあったウエストひかりに準じたディテールアップが施され、屋根が銀塗装となりました。

ライトと鼻はこのセット特別仕様の黄色です。

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1996年発売、500系新幹線。これは2020年現在でも現役ですね。

当時の製品の500系実車よりもおもちゃ寄りのカラーリングをしてまして、色が濃い仕様でした。

このセットでは特別仕様として実車寄りの薄めの塗装となり、非常にリアルになりました。

2002年の製品リニューアルで通常品もこの500系っぽくなりましたが、通常品の方が濃いめです。

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ひかり号を3色並べてみました。そういえば並べた事ないな〜って思って。

「プラレール資料館」を開設しました

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この度、プラレールの製品、並びに関する資料等を集約・公開する場としてプラレール資料館を開設致しました。

同じコンセプトを持つサイトにプラレール博物館さんがありますが、2009年を最後に更新が止まっています。

この約10年、SNSの発達やコレクター人口の増加、可視化に伴ってプラレールに関する多くの情報が出回るようになりましたが、それをまとめるようなページは一握りでした。

Twitterなどで報告しても結局は流れてしまい、既存の情報が新情報として扱われたり、新発見が知られずに埋もれてしまう状況にかねがね危機感を抱いていました。

そこで、私のコレクションを始めとしてフォロワーさんの協力を得て多くの製品資料をまとめる必要が今一度あると思い、プラレール資料館を企画、開設する運びとなりました。

昔遊んだあのプラレールや、あまり知られていなかったプラレール、様々なものを展示しております。

これからちょいちょいと更新していきますので、よろしくお願いします。

資料提供にご協力くださった皆様には重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

プラレールの起源が判明したお話

プラレールは富山商事(→トミー→タカラトミー)が1959年に発売した「プラスチック汽車レールセット」を始祖とし、1958年に更にその元となる「ハイウェーセット」が発売されたという話を踏まえてご覧ください。
既存の情報も含まれます。
※2020/8/14 新情報発掘に伴い追記。及び本文修正。
※2020/10/12 追記。及び本文修正。



事の発端は3年前の2017年、プラレールの謎のポイントレールを発見した事に遡ります。

ジャンクの古いボロボロな1960年代のレールの寄せ集めに入っていたこのレール。まだ「プラレール」ブランド登場前で手転がし玩具だった時代のものです。
曲線の外側に出ていく線路があるレールという事しか分からず(見たままですが)。

使い道が分からないままだったところ、フォロワーさんが「スライドレールを繋げて床に下ろすためのアプローチなのでは?」という説を提唱。

なるほど、手転がし時代なので子供によってはレール上ではなく床上で好きに遊びたい子もいそうです。

特に調べられる事もなく進展も無さそうなので、このレールが再び表に出る事はなく部屋の奥底に眠る事になりました。

後日、たまごやき氏(@tamagoyaki205)が「それの未開封持ってますよ」と報告。

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写真はお借りしました。「プラスチック汽車レールセット」時代のもので確定ですね。ただ、遡れるカタログには載っておらず、確認できるプラ汽車セットにはいずれにも入っていないので、結局謎なままで終わりました。




あれから約3年。
先日、みっくん氏(@ftc_miyamoto)が「謎のレールが入ったセットを見つけたので購入してみました」とツイート。おっ、このレールの謎が解けるのでは?と期待しました。

んん?"Playskool"という名称のプラレールらしき玩具が発掘されてしまいました。例の謎のポイントもしっかり入っています。

ただし、レールの長さが若干異なるようです。(ここ重要)

そういえば、1959年発売の「プラスチック汽車レールセット」には「アメリカ プレイ・スクール社提携」と印刷されています。みっくん氏はプレイスクール社の製品を参考にプラスチック汽車レールセットを発売したのではないかと推測。

起爆。着火 缶 釈迦缶

そこで名誉会長さんが調査。するとこんな情報が出てきました。

プレイスクール社の前身と考えられる"Keystone Manufacturing Co."(キーストーン工業)が1950年に発売した「KEYSTONE "TOT" RAILROAD」という玩具。車両は木製のようですが、レールはどう見ても...

ちなみに、通説であった「プラレールのモデルはブリオレールウェイ」という話ですが、木製玩具ブリオの鉄道玩具参入は1957年。キーストーンはそれを7年も遡っている上に、当初からプラレールのレールとほぼ同じものを製造していた事が分かりました。

この流れで、キーストーン製の玩具をまとめたサイトが発掘されます。

Keystone Tot Railroad Set - Collecting Keystone

先に発掘されたセットとは異なるものですが、例のポイントが入っています。車両の連結器の形状も、プラスチック汽車の初期製品と全く同じです。(この点に関しては以前から「似た連結器を持つ玩具がある」と指摘があったみたいです)

ひとまず、プラレールの起源が1950年発売のキーストーン社の玩具である事が判明しました。では、どのようにして日本に渡りプラレールになったのかという話に進展。フォロワーさんたちが一斉に調査に乗り出し、以下の流れが判明しました。

ちなみに言わずもがな1950年当時の日本はGHQの占領下にあります。


タカラトミーの前身の前身、富山商事(TOMIYAMA)は1950年代にアメリカ向けにB29のブリキ玩具を輸出していた時期があり、玩具製造業として対米輸出に一定の地位を得ていたと考えられます。

1957年、富山商事樹脂玩具設計部門が設立されました。翌1958年、キーストーン社が玩具事業から撤退し、プレイスクール社に権利を譲渡した模様。

同年から1959年にかけて、プレイスクール社の子会社と考えられるリンカーンログズ社が、黒いレールに枕木モールドの入った鉄道玩具"New Tot Railroadset"を発売。これはプラレール規格ではあるものの独自の改良が加えられており、プラレールの系譜から分岐した製品になります。

同時期、プレイスクール社と関わりを持つようになっていた富山商事が同社と提携し、キーストーン社発祥のTOT RAILROADを国内向けに製造販売したものが「プラスチック汽車レールセット」であるとの結論が出ました。車両は国内向けに独自開発したものと考えられ、システムをそのまま流用したのがプラ汽車という事になります。ただ、キーストーンのものとは異なり、例のポイントは採用されませんでした。

これは輸出事業を行っていた富山商事がTOTを日本国内で製造していたから実現したのではないかと考えられます。(ちなみにリンカーンログズ社の製品は米国製です。)
プレイスクール社は60年代中に鉄道玩具から撤退したらしく、製品を日本が製造していたとなると国外向けになる謎のポイントレールは発売先が無くなります。規格自体は同じなので、少数だけ国内向けに販売してみたのが、上に載せたレールなのではないかという話でまとまりました。

[追記]
その後、プラ汽車時代に見られる日本語的に不自然な商品名やキャッチコピーは直訳そのままなのではという考察も出てきました。

後述するキーストーンの説明書。それを拡大してみると、"BRIDGE"というレールがあるのが分かります。立体交差用の坂を持ったレールです。
「橋」
プラ汽車時代から電動車普及初期にかけて、プラレールの坂レールは「橋レール」と呼称されていました。なぜ別に鉄橋が存在するのに、坂を「橋」と称するのかと不思議に思っていましたが、それはキーストーンのレール名をそのまま訳したからなのでした。

えちごやさんが「プラスチック汽車レールセット部品という名前に違和感」と発言。ブリオについてのサイトを引用すると、確かに訳すと「列車セット & 部品」という表現が見られます。
こちらもかなり信憑性の高い説なのではないでしょうか。


また、国外モノなら寸法も諸悪の根源ヤードポンド法なのでは?となり、換算してみたところプラレールのレール幅3.8cmは約1.5inchでした。あーあ。さてはヤーポン法出身だなオメー。



[追記]
直線レールの長さも半端な216mmに設定されており、これも換算すると約8.5inchになります。しかし、前述の通りキーストーンレールとプラレールではレールの長さが異なる事実があり、ここのinch寸法は要検証です。後述の将軍説が正しいのかもしれません。


つまり、タカラトミーが公言している「プラレールの規格は当時の日本では一般的だったちゃぶ台の大きさに合わせた」というのは若干のこじつけになると思います。


また、将軍(2020)はキーストーンとプラレールはレールの長さが異なるため、日本国内向けにちゃぶ台に合わせて改良した説を提唱しています。
これは今後の研究課題となるので、判明したらまた追記という形で報告させて頂きます。

[追記]
やっぱりちゃぶ台に合わせて改良したのは事実のようです。

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つまり、プラレールは日本で開発されたものではなく
アメリカの玩具を輸入して改良したものだったんだ!

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な...なんだって─────!!


という事で、プラレールの起源はアメリカにあったのでした。めでたしめでたし。








ちょっと待ってください(ウルトラQ)(石坂浩二)(SOS富士山)








有識者の皆さんなら御存知かと思いますが、プラレールの最初の製品は「プラスチック汽車レールセット」ではありませんでしたよね?

そうです。プラ汽車から遡ること約1年、「ハイウェーセット」なるものが発売されていたのでした。

かけさんが先日入手し、ツイッター上に詳細な写真を載せていました。木製の車とキーストーン規格のレールがセットになっており、車の裏には英語で車両の名前が印字されています。

英語?

レール自体はアメリカから来たものだと確定しましたが、ではこの車はどこから?しかも木製です。

この点に関し、海外のコレクター DucKGWR氏(@GWRDuck)がある木製玩具を発掘。


アメリカ・カリフォルニアのロサンゼルスにあったジャック・ビルド・トイ社が1950年代に発売したHIGHWAY and CONSTRUCTION Vehicle set(ハイウェイ&建物 車両セット)に、富山商事のハイウェーセットと全く同じ車が存在する事が判明。つまり、ハイウェーセットはキーストーン社のレールにジャック・ビルド社の車両を組み合わて作った製品という事になりますが、残念ながらどのような経緯でジャック・ビルド社の車両が取りこまれたのかは現時点で不明です。
ただし、ジャック・ビルト社の製品は日本からの輸出品だったらしく、またジャック・ビルド社はプレイスクール社と関わりがあったらしいので、レールと車が全く謎に出会ったという事はなさそうです。

2つのハイブリッド製品を作ってみたものの、結局元のキーストーン社TOTのように汽車のセットの方がウケるだろうと発売されたのが「プラスチック汽車レールセット」なのではないかとしたら... あくまで推測ですが、既存の考察とも似た話になる上に、ルーツが更に遡られた事で信憑性が増しました。


[追記]
レールの起源と車両の起源、日本国内での発展を考察したところで、再びレールの考察に戻ります。DuckGWR氏とみっくん氏が検証をしてくれました。

キーストーンの系譜から1958年頃に分岐した"New Tot Railroadset"(便宜上、黒レールTOTと呼ぶことにします)、その派生となる丸ジョイントの銀色レールTOT、プラレールの3種を比較。
明らかにプラレールの方が長く、起源は同一なもののどこかのタイミングで設計変更が行われたと思われます。

みっくん氏がプレイスクールとプラレールを比較。プレイスクールのBridgeはプラレールの橋レールよりジョイント分短く、また全高も低い事が確認されました。
やはり日本国内展開にあたり設計変更をしたと考えるのが妥当でしょう。

参考資料として、「ハイウェーセット」と「プラスチック汽車レールセット」の写真を同時に確認できる寅さんのツイートも載せておきます。
寅さん(2019)は箱のTPナンバーから通説よりも発売が前後してると推測していますが、TPナンバーの規則性は解明されていないので不明です。

[更に追記]

かけさんがハイウェーセット車両裏面に刻印を発見。1961年の刻印が確認されたため、今までの定説だった「プラレールの祖先なので1年程度の発売で消えた」という説、というより明確な資料が無かったため思い込みに過ぎませんが、否定される事になりました。電動プラ汽車発売前後で拡張性のないセットであるハイウェーセットは排除されたものと考えられます。







アメリカ国内では結局短命に終わってしまったプラスチックの手転がしレールトイ。日本では何故ウケたのでしょうか?






少し時代を下り、1961年。「電動プラ汽車セット」が発売されました。

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その独特な形状をした機関車はどう見ても日本の車両ではなく、「フリーランスデザインだ」だの「いやこれは満鉄ダブサ型だ」だの、以前から色々と推論が立てられていました。

しかし限界鉄オタにかかれば明白。これはドイツ国鉄の蒸気機関車、BR61形が一番近い形状をしています。

昨年、なんとなくドイツ国鉄の模型を調べていて行き着いたページを見てバリデカい声が出ました。

www.sammlertreff.de

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電動プラ汽車...?お前、電動プラ汽車だよな?

フライシュマン。ドイツの鉄道模型メーカーです。そこが発売していた電動車およびゼンマイ車のHOゲージでBR61形が発売されていました。

もし、トミーの社員がこの模型をなんらかの手段で入手し、プラスチック汽車のレールに乗せて走らせていたとしたら... プラレール電動化の裏にはこんな話が隠されているのかもしれません。

トミーはトミーとて電動化には懐疑的だったらしく、1964年に発売された「夢の超特急」は手転がしと電動の2種類が発売されています。結局売れ行きが良かったのは電動車の方で、1970年のラインナップ見直しを境に、今日知るプラレールへと進んでいく事になります。

[追記]
念のため、プラレールが海外製品のインスパイアから完全な日本製品になるまでの製品を軽く紹介しますね。

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1964年、1000形新幹線・0系新幹線をモデルとして「プラスチック夢の超特急」「電動超特急ひかり号」発売。

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1968年、国鉄101系・103系をモデルとした「電動プラ電車」発売。

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1970年、EF15形をモデルとした「でんききかんしゃ」発売。他にD51形も発売され、以後は実車モデルのラインナップが増えていきます。

それと同時にプラスチック汽車と電動プラ汽車は日本の車両を再現した玩具というイメージにそぐわなくなるため、絶版となりました。

レールも新開発されたプラレール独自のものが続々と発売され、TOT時代から続くポイントと坂レールはリストラ。名残はレール規格にのみ残るようになります。




一つのレールが発見された事から新たに判明した事実。よく考古学で「以前発見された謎のものが実は歴史を揺るがす大発見だった」という話がありますが、正にそれがプラレールで起こるとは思いもよりませんでした。

ブランドとしては61周年を迎えるプラレール。元を辿れば今年で70周年になる完璧な規格玩具だったというわけです。




ハテ、ではその謎のポイントレールはどうやって使うの?という話をします。

https://www.worthpoint.com/worthopedia/vintage-1940s-keystone-toys-tot-1832823780

このサイトに載っているキーストーンの説明書。レイアウトプランが載っています。

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レイアウトプラン左上のものの右半分を再現。おお... 例のポイントはしっかりレイアウトに組み込めてしまいました。



今でこそ日本の代表的な鉄道玩具であるプラレール。国外展開もしていますが、元を辿ればアメリカとドイツのDNAが入った玩具だったのです。アメリカで生まれ、ドイツの要素を取り込み、日本で発展したプラレール

昨日一夜にして過去の情報を書き換えてしまった一連の流れ。プラレールの枠を飛び出し、玩具界の中でも大発見だったのではないでしょうか。


以下 まとめ追記

togetter.com

トゥギャッターでまとめて頂きました。

また、空転さんが新年表を作成してくれました。

プラレール大撮影会

ある日の竹芝桟橋。現在制作中のページのためにプラレールの写真を撮る必要があったので、茶さんに打診したところ「撮りに来る?」との事なので寅さんと福遠と共にお邪魔して来ました。

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酒を撮影しつつプラレールを飲みながら黙々と作業を進めていきます。

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カートンロボの発進基地を見学。最近は出動していないようです。

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素晴らしい品の数々。聞くところによると全国の玩具店や問屋から掘り出してきたものばかりだそうで、羨ましい限り。

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セット品は汗だくになりながら収納庫から運び出し。2日間の撮影会でしたが結局収納庫の最深部を拝む事は叶いませんでした。何が埋まっているんだろう。

まだジオシティーズが元気だった頃に食い入るように見ていたモノの現物を拝めて感動でした。今度は3日間開催でいきましょう。


それから数日経った後、今度は寅さんの家でも同じ事をやりに突撃。

収納庫からモノを取り出しては撮影、寅さんがJANコードを記録し再び収納する動きをせっせと繰り返します。

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あぁ...

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お、こんなものありましたね〜。懐かしいです。

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買った記憶にないものが出てきたりして寅さんは度々困惑していました。こんなにスペシャルセットを見たのは初めてですぜ。

茶さんも寅さんもありがとうございました。あと橘ありすちゃんお誕生日おめでとうございます。

ブルークリスマス

例のアレのせいで家にいる時間が増えたどころの話ではなく、元々外出大好き人間なので家にいるとインターネットしかせずそろそろ虚無ってきたなという感じです。早く元に戻らないかな。戻らないんだろうな。イヤだな。


というわけで暇な時間を弄ぶのも如何なものかと、最近はよく映画を観てます。主に昭和の邦画ですけど。


ブルークリスマス」を観ました。1978年公開、監督は岡本喜八、脚本は倉本聰。自分は面白いと思ってるのですが、なんか評価が分かれているカルト映画です。特撮を使わない東宝SF映画
話を書き起こしつつネタバレをめちゃくちゃ含めながら雑な考察をしていきますので、まずは作品を観たいなと思った方はブラウザバックしてください。(この表現最近見ませんね)
















ブルークリスマス。二部構成の作品です。英題は「BLOOD TYPE: BLUE」といい、オタクなら分かると思いますが「新世紀エヴァンゲリオン」に出てくる使徒の波長パターン「青」をMAGIが分析した時の表示の元ネタです(早口)。



京都国際会館で開かれていた国際科学者会議の席で、城北大学の兵藤博士がUFOの実在を報告。

 しょっぱなから突然UFOが出てきます。ただし映像ではなく、報告として。そして出ました!城北大学!昭和のフィクションと言えば城北大学と城南大学ですよね。

各国の科学者はそんなアホなと反論しまくるのですが、一度観終わった後に再びこのシーンを観ると、既にUFOの存在を確認している一部の団体がそれを強く否定しているような雰囲気が出ていて少々不気味です。この映画、不気味なことだらけです。
会議の後、兵藤博士は宿泊しているホテルニューキョートに帰りますが、部屋に向かう途中に行方を晦まします。次の場面、国防庁の沖が西田冴子という女性と知り合います。

 ここでタイトルが出るのですが、背景映像の新宿の空撮が今となんら変わっていない。ビルが立ちまくっている以外はほとんど何も、新宿西口なんて今とほぼ変わりません。内容に関係なくここで少し感動しちゃいました。

1978年2月、日本の国営放送JBCソ連の国防相が理由は不明ながらアメリカ大統領を訪問したというニュースが入ってきます。
その通信社からのニュースに注目していたJBCの記者・南のところに、友人で芸能記者の木所から連絡があり、局内の喫茶店で会う事になります。店内BGMで劇中歌の「ブルークリスマス」が流れているところで、南が「なんで一体『ブルークリスマス』がこんな季節にリバイバルするんだ」と愚痴を溢します。

 確かに2月になってクリスマスソングが流れ出すというのも不自然ですが、世の中で起きている異変をそれとなく暴露しようとしている影の存在がいるような演出に見えてちょっと感心しちゃいますね。

木所は、恋人で新人女優の高松夕子の血液が青くなっているのを目撃したそうで、南にそれを話すのですが他言無用だと念を押します。しかし南はそれを聞いて笑い飛ばします。
同じ頃、JBCの五代部長が兵藤博士の失踪を何故か極秘に調べたいと言い、南を召喚し兵藤夫人の元へ向かわせます。向かうタクシーの中で、運転士が「ブルークリスマス」を劇中で歌っているという設定のグループ「ザ・ヒューマノイド」について言及。メンバーの一人が超能力を持ってるんでしょ?と振りますが、南は聞き流します。
兵藤邸で取材をする南。しかし夫人は何も知らない様子です。
次に城北大へ飛びますが、助手も何も知らず。専攻の宇宙科学についても最近は何をしてたのかすら不明瞭だと言いますが、ただ国立京都医大血液学専攻の前畑教授と何かしていたらしいとの情報を得ます。

 この一連の流れ、流れるように進んでいくのですが、宇宙科学を専攻している人が血液学の人と連絡を取り合ってるという事実がサラッと明かされるのがアツいと思います。だって関係ないでしょう。宇宙と血液ってあまり。

翌日、南は京都へ向かわされます。兵藤博士が宿泊していたホテルで詳しい事を訊こうとしますが、係の者は兵藤博士は普通にチェックアウトしたと言い、JBCが「失踪」という言葉を使っている事を不自然に思っている様子でした。
南は改めて兵藤博士の自宅に連絡を取りますが、電話が繋がらなくなっている事に気付きます。
国立京都医大を訪れた南は前畑教授の助手と会い、兵藤博士と前畑教授の関係について追求しますが、助手は何も知らないようでこれまた不気味で不自然。
兵藤博士はある種の血液、助手は詳しくは知らないもののイカの血液に関する事を調べているらしく、南はイカの血液の事が気がかりとなり助手に聞いてみると、イカの血液は青いそうです。

 出た出た。宇宙、血液、そしてイカイカと言えば宇宙由来の生命体というトンデモ説があり、それを踏まえた上で観ているとニヤけてしまうシーンですね。

南は局に戻り、五代部長に取材内容を報告した後、イカの話を聞いたせいか、高松夕子の血液が青い事をサラッと話してしまいます。
こんな話を突然されたら適当にあしらってしまうものですが、五代部長は極秘にしておけとこの件が外部に漏れる事を防ごうとします。
そしてそして、タイミング悪く兵藤博士の自宅が火事で焼失。南は現場に飛びますが、消防や警察に混じって謎の男たちが焼け跡に入っていくのを目撃します。

 何か重要な手がかりを持つ場所が燃えると言えば、新幹線大爆破でも同じ展開がありました。困ったら燃やせばいいんですよ、燃やせば。
 ここで登場する代議士風の謎の男を演じているのはなんと天本英世!素晴らしい人選だと思います。そしてこの男の側近は岸田森という、この二人がいたら宇宙人もひっくり返って引き返すんじゃないかと思うような組み合わせです。

アメリカの国際空中現象調査機構でフランス人の青年が取り調べを受け、1月にUFOに遭遇した事、遭遇してから血液が青くなった事、神経質な性格が治った事を報告し、最後に舌を見せます。

 人間の肌って血液が透けているからこんな色をしているわけで、青い血液を持っていたら全身青白くてガミラス人みたいになるはずだと思うんですけど、映画なのでそこは気にしないようにしましょう。
 ただ「皮膚の色が多少変わった事以外は」とのセリフがあり、肌の色の件を無視しているというわけではなさそうです。

JBCに「フランスで血が青くなった学生が出た」との報告が入りますが、当局はこれを否定。
北海道・恵庭で戦闘機がスクランブル発進。しばらくするとレーダーから機影が消失。パイロットの原田と後藤が行方不明になります。
五代は同じJBCの竹入に「未確認飛行物体について調べているブルーノートという機関があるという噂」について話し、前身機関ブルーブックは1966年に解散していると述べます。兵藤博士はそのブルーノートに連れて行かれたとの話があるのだそうです。五代は竹入にUFOや宇宙人について何を思ってるかを聞き出そうとします。
3月、イタリアで青い血を持つ子供が生まれるものの当局はこれを否定、ソ連でも青い血を持つ子供が生まれますが、親共々姿を消します。だんだんきな臭くなってきました。
高松夕子は連続ドラマの主役に抜擢され、記念する番組を収録している頃、「ザ・ヒューマノイド」が世界ツアーの最初の国として自家用機で来日。ファンに熱烈歓迎を受けます。
羽田空港での歓迎騒ぎに混じって国防庁次官がおり(まぁ実質国籍不明機が突然羽田に来たら国防庁の人くらいは出るだろうと思いますが、それとは違いおそらく帰国したところでしょう)、羽田から移動中の車内で幕僚長に国連緊急秘密理事会が開かれている事と、「青い血の人間の増加傾向予測」を見せ、1980年には日本の人口の2倍近くの人が青い血液を持つようになると事を告げます。次官は青い血の人間は赤い血の人間と変わりなく、別に害毒は無いのではないか?と問いますが、次官は今後"奴ら"が何を起こすか分からないのだぞと釘を刺します。
JBCでは局制作長や代議士風の男が同席の上、高松夕子の血が青いことについて話し合いが行われます。明確な理由は不明ながらも主役を下ろす方向で話が進んでいるようです。
ザ・ヒューマノイドは記者会見でUFOがどうだの宇宙人がどうだの話をしますが、よくあるパフォーマンス発言的な雰囲気が出ていてこいつら自体は別に問題ないような映り方になっています。が、多分こいつらも青い血の持ち主でしょう。というかグループ名が「ザ・ヒューマノイド」って。物語に対する皮肉な気がします。
来日パーティーに高松夕子も呼ばれますが、ドラッグをやっている事に不安を覚え木所に迎えを頼みます。ただし高松はマネージャーの指示で参加しているらしく、会場では国防庁の沖が警備にあたっていました。
その直後、乗り込んできた警察に麻薬取締法違反で逮捕されます。

 この一連のシーン、高松夕子を下ろすか否かの会議の後に高松が強制的に変なパーティーに誘われ逮捕されるという、あまりに出来すぎた上に不自然な流れがイカしてます。陰謀論とか大好きなオタクはこのシーンの話で盛り上がれそうです。

3月25日、東京順心堂病院に代議士風の男とその側近が来訪。この度生まれた赤子とその母親を「処理」しろと、分娩を担当した院長に指示します。この青い血の母子については口止めがされているらしく、父親にも知らされていないという、詳しくは分からないものの確実に青い血の人間の事は秘匿にされている事が分かるシーンです。
翌日、東大病院で妙な法医学解剖が行われるとの話が五代部長の元に入り、南が派遣されますが看護婦に今日の解剖はないと言われ困惑。母親の遺体にメスが入れられると青い血が吹き出します。
高松がドラマの主役を下ろされた日の夜、木所と一夜を共にします。翌朝、木所が高松の肌がやけに青白い事に驚き、家を飛び出て慌てて帰宅。その後、高松が自殺したとの一報が入ります。
理髪店のテレビでヒトラーの番組が流れています。今後の展開を暗示する場面です。
西田冴子の兄が田中邦衛なんですが、セリフがないなりに存在感があってちょっと不気味です。不気味な印象を多く受ける映画ですねこれは。
南はアメリカに飛ぶ事になり、飛ぶ前に羽田の喫茶店で木所と落ち合います。木所は高松の青い血の事について誰かに話したかと南に問い詰めますが、事が事なので否定。
木所は恋人の死について謀略があったのではないかと疑います。JCBの誰かが高松の血の事を知ったから下ろすような工作をしたんじゃないかと、そう考えてたのです。
4月13日午後11時3分、東大病院で青い血を持つ子供が誕生。代議士風の男が病院から出てきます。どこからかリークされ、新聞記事にまでなってしまいますが、病院側はこれを否定しました。

 リーク元は明かされていませんが、代議士風の男が出てきたという事はそういう事でしょう。隠蔽と拡散を同時に行っていると見て取れます。

南は兵藤博士の行方を追うために渡米。ニューヨークで聞き込みを行います。

 兵藤博士は実質拉致されたも同然な雰囲気なので、ニューヨークで聞き込みをする意味はあるのか?と観ていて思うのですが、南が日本にいない間に色々な工作が進んでいるのかなと思わせるシーンでもあります。
 このシーンでは「主よ、人の望みの喜びよ」がBGMに使われており、庵野秀明監督のエヴァ旧劇の実写シーンで同じBGMが使われている事から、これのオマージュなのかなとか勘ぐってしまいます。

南はニューヨークからNASAへ移動し、ド直球にブルーノートについて案内係に聞きますが、当然知らないと言われ、挙げ句の果てにめちゃくそ笑われます。そりゃそうだ。笑われたのでニューヨークに戻り聞き込みを再開。
聞き込みを長く続けてるうちに段々と描写がただのニューヨーク散歩になりつつあるところが少し面白いです。が、木所に至急電話を入れてくれとの連絡を受けます。
ホテルに戻った南は、木所から電話口でフランコという情報屋がいる事を聞きますが、電話が盗聴されており途中で回線が切断されます。このシーンも少し恐ろしいですね。直接"青い血"について言及はしていないのに回線を切断するとは。
公園でたむろする南の元に謎の女性が現れ、フランコからのマッチを渡されます。「三番街のカフェテラスに来い」と書かれたマッチ箱を頼りにカフェでくつろいでいると、兵藤博士が現れます。
兵藤博士はロープウェイの中で、世界で青い血を持つ人間が増えている事と、実際に目にしている事を南に話します。青い血の人間が生まれるのは宇宙光線が原因だと考えますが、専門家はありえないと言っている事も教えます。
南と兵藤博士が乗ったロープウェイをバックに、謎の男が公衆電話でどこかに連絡するシーンが挟まれます。尾行が始まっていました。
青い血、通称「BA-1型」はUFOを見た人に共通して現れることを突き止め、UFOから照射される宇宙光線が血液内のヘモグロビンの中の鉄分を銅に原子分解したのではないかと言います。

 ロープウェイの中でなら人にバレずに話せるので、あえて選んで乗っていると考えられる場面。テレビ版エヴァの中でも似たシーンがあり、遡ると「トップをねらえ!」でも似たシーンがあります。ここのオマージュなんでしょうか?断定は出来ませんが。

南は「何故それが隠されるんでしょうか」と問いますが、兵藤博士は「何故でしょうな」と返し、核心に迫れたと思っていたであろう南は拍子抜けしたような表情を浮かべます。
二人は近代美術館に移動し、兵藤博士は「隠されているのなら、なぜ君がそれを知ってここまで来る事が出来たのか、それが不思議だ」と話します。裏の力が働いているのではないかと。
「秘密が漏らされているのではなく、誰かが意図的に情報を流しているんじゃないですか」「宇宙人が青い血の人間を作り、世界を侵略しようとしている。そのような思い込みを市民にさせるのが目的なのでは」
そう感じないか?と、南に問いかけました。
青い血の人間が人類の敵という証拠はないが、そうではないという証拠もどこにも無い。青い血の人間の将来は全く分からない。
地球の指導者はこの現象に対面している時、何かしらの手を打たねばならないと考え、その手というのが、青い血は恐怖の対象であると思い込ませ、「青い血の人間を敵視させる」という事だと南に教える兵藤博士。少数の特異な人が出てくると世論を操作し迫害を始める、そういった事をしてきたのが指導者だと言います。
南は「恐怖を植え付けた後はどうするんですか」と聞きますが、答えを得られずまた場所を移します。
兵藤博士はブルーノートの実在を南に打ち明けますが、南が思ってたUFOの調査機関ではなく、医療機関だというのです。そこに、約300名のロボトミー手術を受けた人がいると暴露します。

 ロボトミー手術なるワードが飛び出してきました。70年代だな〜と思わせる設定ですね。

彼らは1年ほど前までは普通に暮らしている人間だった。秘密裏にブルーノートに運ばれ、拘禁され、尋問され、手術を受ける。既にあらゆる人種が収容されているそうです。
南はメモを取ろうとしますが、止められます。彼らは植物人間にされ、生体実験の材料にされる。「そしていずれは、おそらく...」と意味深なことを言い、明日自分のアパートに来ることを勧めました。
今まで小声で話していた兵藤博士は突然高笑いし「懐かしかったよ」とだけ言ってその場を去ります。おそらく尾行に旧友と会っている風に見せたかったのでしょうが、南と別れた直後に何者かに拉致されてしまいます。
後を追う南の前に、兵藤博士の護衛と名乗る者が現れいくつか質問をされますが、はぐらかし逃亡を図ります。後から自称護衛に合流した人に「兵藤と一緒にいたやつだ」と叫ばれ、南も追われる身になってしまいます。
なんとか逃げ切った南ですが、今度は突然現れた日本大使館員にJBCから帰国命令が出ていることを告げられます。南は身の危険を感じているからかそれを受け入れ、ホテルに荷物があると伝えますが、兵藤博士誘拐の嫌疑がかかっているためホテルに戻ると逮捕されるぞと言われます。兵藤博士の身に何が起こったのか聞き出したい南でしたが、大使館員は「知らなくても良いことだ」と、全く話そうとしません。
帰国した南は、この件に関する取材は中止しパリ総局への転勤を命じられます。五代は「事態が変わったから取材を自体を中止、南の引き継ぎも設けない」と伝え、憤慨する南に対しても雑にあしらい、この件を終わらせようとします。
南は、高松夕子が下ろされた理由が麻薬ではなく血が青かったせいで、国防庁も絡んだ謀略だったと五代に訴え、軽はずみに高松の血の話を話してしまったことに責任を感じていると言って部屋を後にしました。五代は目を逸らし、電話をかけようとしていた手が止まったままになってしまいます。
自局で調査内容を発表できなくなった南は、別の局の知り合い・中岡に全ての資料を渡すからそっちで記事にしてくれと電話をします。中岡に明日持ってくるように言われたため、徹夜でレポートを書き上げ、約束の場所へ向かいます。
するとそこにいたのは中岡ではない謎の3人組。中岡は都合で来られなくなったので代理で訪れたそうです。南の見方を名乗る男らは、ニューヨークで拾った命なんだから大事にしろと言い、レポートを取材メモごと回収。そして、木所が事故で亡くなったことを伝えます。本当に事故なのでしょうかね...
取材を下ろされ、友人をも無くした南は居酒屋でヤケ酒をしてフラッフラに。店内で流れていた「国民全員の血液総点検を義務付ける法案を衆議院に提出した」とのニュースを虚な目で見つめます。
1978年12月、血液検査や報道管制に反対する若者のデモ隊がJBCの前を通り、上の階から見下ろしている竹入らは「若者ってのはいつの時代も不思議な種族だな」と軽く馬鹿にし、デモ隊の訴えていることが現実の問題とは少しズレていることを仄めかします。血液検査は既に95%ほど進んでおり、発見された青い血の人間は密かにアメリカへ送られているとの噂を聞いたことがあると話します。竹入は詳細はないのかと五代に聞きますが、報道管制が厳しく何も得られていないと溢しました。
ただ、パリに転勤した南から私信の形である情報がもたらされていることを教えます。なんでも、フランスで収容されている青い血の人間が徐々に逃走を図っているらしいのです。
同じ頃、デモ隊に混ざって歩く一人の女性を国防庁の沖と岡村がマークし、新宿から横浜まで尾行します。


 ここまでが南主体の第一部。だいだいこの辺から沖が中心となる第二部になります。


女は喫茶店に入り、店内では沖がマーク、岡村は店外におりどこかへ電話をかけます。水を注ぎに来た店長に女が耳打ちし、どこかへ案内されます。トイレに向かったのかと思えば出てくる気配がなく、食器類も下げられ、沖は不審に思いつつも店を後にします。
女は店の裏で赤い血を持つ協力者に血液を採取され、今後どうなるかを聞こうとしますが、その事はこれから説明すると言われさらに店の奥へ案内されます。
そこには女と同じく青い血を持つ人々が集められており、一つの映像が流されます。11月末の横須賀米海軍基地。そこにBA-1型を持つ隔離患者が集められ、輸送船で日本の沖合まで運ばれた後に原子力空母ミッドウェイ(ちなみに現実のミッドウェイは原子力空母ではありません)に移乗させられ、日本人患者はヘリでシベリアの隔離施設に移動させられるという患者たちからするとイヤな内容。同時に、人権を剥奪され認定番号で呼ばれるようになると言うのです。アジア圏の患者を収容する強制収容所、そこで行われている生体解剖、尋問、ロボトミー手術の施術までを話したところで、国防庁の部隊が乗り込み全員を連行。特に赤い血を持つ協力者は執拗に暴行を受けます。
騒ぎを聞いた群衆の中からそれを見つめる沖と岡村。
沖は横浜を去り、タクシーで新宿の高層ビル群を走っている最中、行進する宗教団体の列に混ざって殉職したはずの原田の姿を目撃します。
岡村に原田を目撃したと話す沖。当然ながら原田は殉職した事になっており、聞き流されます。「そんなことより」と切り出す岡村。年末に青い血を持つ人間が反乱を起こすとの情報を得たと言います。
最近になり、このところ姿を見せなかったUFOの編隊の目撃例が再び増えてきたらしく、岡村はただ事ではなくなってきた雰囲気を感じ取ります。
12月8日、ワシントンのAP通信社からUFOの編隊が地球に向かって航行中であるとの報道が入ります。アダムスキー型が約100機。
12月10日、モナコ付近にアダムスキー型約300機が出現。
12月11日、レニングラード(現・サンクトペテルブルク)でUFOの撮影に成功。葉巻型母船13機、アダムスキー型52機が撮影されます。

 アダムスキー型!?!?今までなんとなく本当にありそうな雰囲気で進んできた映画ですが、ここに来て突然アダムスキー型UFOが出てきて笑ってしまいます。とは言え、特撮を使わないSF映画なのでUFOは光の球の編隊のモノクロ写真として表現されています。

日本でも目撃例が増え、警察や国防庁に不安の声が寄せられているとのニュース。それを観る五代局長。
クリスマスムードの中、UFOに関する記事が続々と出されていきます。
12月12日、パリ。カフェでAP通信のジョン・デニスと新聞を読む南。ジョンは「わざとUFOに対する恐怖心を植え付けているようだ」と今の報道に違和感を覚えます。
先日ベルリンで公演をしていたザ・ヒューマノイドが騒ぎを起こしたと言うジョン。超能力を持つメンバー"アラン"が「クリスマスイブに何かが起こる」とリサイタル中に叫んだと言います。何が起こるかは不明で、アランは「ヒトラーの亡霊が蘇る」と叫んだそうです。ジョンはこれが妙につっかかるらしく、どうやら支社長に「クリスマスイブはパリを離れるな」と命令されているとの事。理由は分からず、ジョンも南も困惑します。
会話の最中、店内でラジオを聴いていた一人の女性が悲鳴を上げます。リヨン郊外でザ・ヒューマノイドの自家用機が墜落したとのニュースが流れたのです。
世界中で悲しみに暮れるファンと、謀略があったのではないか疑う報道各社。
西田といる沖は居眠りしている最中に悪夢を観ます。沖の身元を調べようとして消された木所、UFOに遭遇して血が青くなったというだけで消された数多の人、みんなが何をしたんだと激昂する木所の姿に沖はうなされます。
西田は「今日は兄が帰らないの」と沖を誘い、一夜を共にします。済んだ後、煙草に火をつけようとした沖は指先についた西田の血を見ます。青い血でした。
過去にいた彼氏とクリスマスに会う約束をしたものの、結局来なかった事があると打ち明ける西田。翌年もそれとなくクリスマスに待っていたものの、やはり来る事はなく、クリスマスは寂しくなるから嫌いだと言う西田。
今年のクリスマスは行ってもいいかと聞く沖。西田は不安がります。
帰宅した沖は西田の血の事が気がかりとなり、ボーッと過ごします。そこに電話が入り、新宿のスナックへ向かいます。
ママに歓迎される沖ですが、事を話すと2階へ案内されます。そこには原田がいました。
赤いネオンに照らされる部屋。しばらく無言の二人でしたが、ネオンが青色に変わると原田が話を始めます。ここ、良い演出だと思います。原田の血が青くなっている事を示唆しているのでしょう。
駒ヶ岳上空(駒ヶ岳は全国に点在する山の名前ですが、この場合は北海道駒ヶ岳の事だと思います)でUFOに遭遇した原田と後藤の機体は計器類が狂い、1分ほど経ったところで計器類が回復しましたが、何故か沖縄上空にいたと言うのです。沖縄に緊急着陸した原田は米軍の施設に移されました。
また赤いネオン。原田は「血液の色が変わっていたんだ」と言うと、ネオンが青くなりました。うーむ、やっぱり良い演出。
あらゆる検査を受けた原田と後藤。このままでは生体解剖されるらしいと後藤が言い、逃走の計画を立てますが後藤がロボトミー手術を受けてしまいます。
沖はよく逃げられたなと言い、何故連絡してきたのか聞きます。原田は「保障」されていると話します。
原田は「政治における謀略というものは、お前が思ってるほど単純じゃない」と謀略について語り、青い血の人間は強制収容所に連れていかれるのに、なぜかわざと放置され今まで通りの生活を送っている人が何人かいると暴露。
西田の顔がよぎった沖は「逃げてるんだろ」と返しますが、原田は強い口調で「分かっていてわざと放置されてるんだ!」と沖に詰め寄ります。つまり、西田冴子もわざと放置されている対象となっていたのです。
「それこそが政治が行おうとしている、今世紀最大の謀略じゃないのか」と言う原田。原田いわく「仕組まれた反乱軍」。これを未然に見つけ、処理するのが目的。全世界で同時に青い血の人間を処理する事で、赤い血の人間に彼らは宇宙人の手下であり、侵略者であり、敵であるという思い込みを一夜にして植え付けようというのです。
翌日、クリスマスムードの商店街で西田を見つける沖。

 この商店街のシーン、ジングルベルが流れていて軽快な感じなんですが、背景に映るクリスマスの飾り付けに造花があったりとどうも和風な感じが面白いです。都心部のクリスマスムードは今と変わらないのに、昭和の街の商店街はこういう雰囲気だったと分かる貴重な場面ではないでしょうか。

店先で自転車を眺める西田。そこへ沖が現れ、自転車を買ってやります。
楽しそうに二人乗りをするシーンが入りますが、これから起こるであろう事を思うと切ないシーンです。
夜を共にする二人。沖は「俺の田舎に行かないか」と西田を誘います。逃そうとしているわけです。
沖は仕事帰りの西田の兄を誘いラーメン屋へ。血の事を聞きますが、妹には「別に気にする事はない」と言ったそうです。
パリ、12月20日。街を歩いていた南が、ベンチに座る兵藤博士を見かけます。声を掛けると、顔を上げるものの無反応。そこへ兵藤夫人が現れますが、「そっとしておいてください。主人は仕事を捨てたんです」と言い、主人の手を引きます。帽子を取ってお辞儀する兵藤博士の頭には手術痕があり、南は呆然とします。
沖の田舎へ向かう列車内。西田は話があると言い、途中下車。雪降る中、駅で「ずっといてほしい」と話す西田。その間に何本も通過していく列車。
血の色が青い事を自ら告白する西田。旅行で仙石原に行った際、UFOに遭遇したと言います。赤ん坊が生まれたら血が青くなるのかと西田は心配します。
クリスマスにかけて大寒波が来ているとのニュース。12月23日夜、国防庁小ホールで特殊部隊に対し総理から緊急出動の要請が極秘に出たと隊員に発表します。さらに遡れば、国連から各国の軍隊に同じ要請が出ています。
日本国内にいる青い血の人間は971名。彼らは外見こそ人間ではあるが、人間として扱わないので殺人ではないと主張がなされます。さらに、一切の連絡が取れなくなる事も告げられます。
小部隊が編成され、1件2名ずつで射殺するよう命令が下ります。隊員に対象適性物のリストが配布され、沖に西田冴子の情報が記された紙が渡されます。

 ここ、すご〜くゾワゾワするシーンです。個人的に。人間ではないので射殺しても構わないだの、青い血の人間が"対象・敵・生物"ではなく"対象・適性・物"であるだの、あまりにも赤い血の人間の一方的な心情が見て取れて普通に恐ろしいですね。

沢木隊長に「誰か知ってる者か?」と問われる沖。答えは「知りません」でした。
出動前夜、沖はベッドを抜け出し、宿舎にある電話に向かい西田に連絡を取ろうとしますが、繋がりません。
「外部に電話は通じないよ」と沢木隊長。ロビーで煙草をふかす沢木隊長は、原田が自殺した事を教えます。そして、自分も青い血の持ち主なのではないかと恐怖に怯えていた事を告白します。
パリからクリスマスの様子を放送するJBCのカメラクルー。そこには南の姿もあります。
大寒波に襲われた煌びやかなクリスマスイブの街の中、西田は沖が来るのに備えて料理やケーキ、プレゼントを用意し準備を進めますが、内心不安そうです。
夜8時、沖が来ます。
「沖さん、ほんとに来てくれたの...」と呟く西田。その瞬間、沖が射殺。
静かに涙を流しながら家を出る沖。周りには他の特殊部隊の隊員と車両がおり、沖をライトで照らします。
恋人を殺す羽目になった沖は反逆に出ようとしますが、一斉に射撃されその場で倒れ込みます。
同時刻、世界各国で虐殺が行われます。長野、大阪、岡山、函館、仙台、東京、クウェート、ニューヨーク、パリ、メルボルン、ローマ、瀋陽、ボストン、プラハ...
なんとか家から這い出た西田冴子、玄関先で事切れます。
体から流れた青い血が沖の赤い血と混ざり合い、紫色になりました。










いやぁ素晴らしい!久々に面白い映画に出会った気がしますよほんとに。公開当時は微妙な評価で、監督の岡本喜八も「好き好んで観る人は変人」とまで言った作品ですが、非常に楽しめました。変人なんですね俺も。
面白いんです。面白いんですけど、なんかズレてるんですよ。そのズレてるのが俺好みで良いんですけど。
評価が芳しくないのも分かるような場面も多々あり、前半で頑張っていた南がパリ転勤を機に急に出てこなくなったり、最後の射殺シーンは2名1組で処理するはずなのに出てくるのは沖だけ、しかも周りに隊員多数と、わりと突っ込みどころがあります。ニューヨークのシーンも兵藤博士に会うまで随分時間がかかります。それほど"裏"を追っているという表現だと思うので、正直全く気にならないのですが蛇足と思う人もいるみたいです。
それと結構急にニューヨークに飛んだ南の宿泊しているホテルの電話番号を何故か木所をが知ってるいるのもよく考えてみれば不自然。南は1ヶ月近く聞き込みをしているので、描写がないだけで木所に居場所を教えてるというなら分かりますけどね。

というか、映画を観てこんな文章を書きたくなったのは初めてです。
青い血の人間は特に問題がなく、悪いどころか性格の難ありな部分が改善されるという素敵な副作用もあるのに、血の色が違うからというだけで人間扱いされなくなり、射殺されるという正規の人間第一主義みたいな脚本。言わずもがなモデルはホロコーストでしょうね。所々、最近の新型コロナウイルス騒ぎにも通じるところがあると思います。根本は違うのですが、人間の思想的な面で。
そしてあの終わり方。ハリウッド映画だったら愛しのハニーが人間扱いされなくても愛し続けて二人で逃げるぜ!的な展開で終わると思うんですが、そうはいきません。日本での犠牲者は971+1名になるわけです。
観た動機としては、好きな監督である庵野秀明が好きな作品であるから、というだけなんですが、やっぱり庵野秀明作品を気に入った人が気に入る映画だなというのが率直な思い。
しかし全員虐殺したところで、またUFOが現れたらどうするのでしょう?まぁ一度こんな事をおっぱじめた以上、再び青い血の人間が発見されたらそれこそ集団リンチになる気がします。

ん、何か今の状況と似ているような...

サークル「いなかのえき」刊行 プラレール同人誌委託販売中

2019年の夏コミ(C96)及び冬コミ(C97)で頒布した、私が所属する同人サークル「いなかのえき」にて刊行したプラレールの同人誌「プラレール大全」「鉄道プラレ情報」「樹脂鉄道趣味」「PM MODELS」の4作品を、カートイワークス様のBEEP通販サイトにて委託販売しております。

コロナ禍の煽りを受けて現物を頒布する機会が失われている現状なので、この機会に是非ご購入を検討ください。

なお、私が執筆を担当したプラレール大全の内容は、2019年当時の考証に基づいているので誤りがある箇所もあると思います。ご了承願います。

四季島と瑞風のプラレール

間が開きましたね。

先日、クルーズトレインDXシリーズの四季島と瑞風が発売されたので購入してきました。

詳しく紹介するわけではなく、新製品かっちょイイ〜的な雑な内容で参ります。

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お洒落なパッケージです。四季島は今回が再販となります。前回買い逃したと思ったらどんどん高騰していき困ったちゃんになっていたので助かりました。

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まずは瑞風から開封。ナイス造型ですね。
メタリックな車体が成型色で表現されていて高評価。

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続いて四季島。まだ実車を見た事がない気がします。

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四季島は中間車が光るので、同じく光る情景部品であるライトステーションと組み合わせて撮影しました。
同じ電球色なので相性がいいです。40年差の製品ですが特に違和感もなく組み合わせられるのが流石ロングセラー玩具という感じがします。

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いいな〜。

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ヘッドライトを点灯させた状態で並びを撮影。

走らせたいんですけど、例のウイルスのせいでイベントが出来ないのでしばらくは仕舞ったままでしょう。かなC。

カフェと純喫茶

カフェもいいけど、純喫茶の方が良い。


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カフェというのは何か違う気がする。


なんかキリッとしたサラリーマンがいたり、キャッキャした女子高生や女子大生がいたり、家よりもカフェの方が捗るみたいな人がいるイメージ。


オシャレな照明、高い天井、背高の椅子、明るい色のカウンター。偏見込みでカフェというとこのイメージが付き纏う。


純喫茶はその対をなす。仕事に疲れたサラリーマン、世の中に不満を持ってそうな目つきの若者、ジジババ、変なやつ、そんな人が来るのが純喫茶。


座面が低いソファー、ひび割れのあるテーブル、着色ガラスや波ガラス、適当な店内BGM、灰皿。純喫茶はこうかな。


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純喫茶で人の会話に耳を傾けると、色んな人がいるんだなぁと思うような内容が耳に入ってくる。新宿や池袋の店は特にそう。


人間の綺麗な部分を集めたようなカフェと、堕落してる部分を集めたような純喫茶。喫茶という目的は同じなのにどうしてこうも違うのか、わりとふしぎ。


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昔のお洒落の価値観で生まれたのが純喫茶、今の価値観で生まれたのがカフェだそうだ。


どうにも、始めからお洒落を追求してデザインした店内で飲むコーヒーと、来店した人がお洒落を見出す店内で飲むコーヒーは同じものでも違う味がする。


純喫茶も減りゆく一方。いまはカフェのターンで、またいつか純喫茶の方がお洒落だ現代的だみたいな世の中になってほしいな。


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そんなところ。