営団地下鉄のサインシステム

サインシステムと聞いて何を指すのかピンと来るのはおそらくオタクとデザイナーくらいのものだと思いますが、今回はそのサインシステムを取り上げます。

サインシステムとは

サインシステムとは言い換えれば案内板の事で、駅やデパートとかで天井からぶら下がってたり壁に設置されていたりするアレです。日本では1964年のオリンピックを機に誕生、1970年の大阪万博から徐々に普及していきました。ありとあらゆるサインシステムを取り上げているとキリがないので、最近探し回った営団地下鉄のものについて述べていきます。
営団では、改札口を緑地、駅入口を青地、出口を黄色地と色分けしていました。出口案内の黄色地は他事業者でも一般化していますね。

ここでは現存する営団タイプのサインを種類別に紹介していきます。

[2020年12月23日 追記] 当記事の終わりにメトロが2020年を目処にサインシステムを置き換える旨のリンクを貼りましたが、2020年も末になってきたのでここで紹介しているもので撤去を確認していないものの大半が既に無くなっている可能性があります。今後サインシステムを巡る際はご注意ください。

サインシステム導入前のサイン

その前に古い方のサインを紹介しておきます。
営団地下鉄は視認性に優れたシンプルな案内板を1973年に開発、翌年から全駅に広げていきました。それ以前の案内板は文字と矢印だけというシンプルなもの。
当時のものは現存数が少ないのですが、一部の駅で現役だったり化粧板の裏に隠れてたりします。
以下のものはその旧案内類。

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(銀座線渋谷駅1番線 2015/8/15) 〈撤去済〉

こんな写真しかなくてアレですが、渋谷駅の改装工事で現れた駅名標です。同じタイプのものが表参道駅の旧ホームにも残っていた気がします。
他の駅でも壁面タイルや化粧板を剥がせば出てきそうです。

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(日比谷線茅場町駅 2018/8/16)

最近綺麗にリニューアルされた日比谷線茅場町ですが、なぜかこれが残されています。

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(新宿駅A18出入口 2018/9/5)〈2019/2/23 撤去確認〉

これもおそらくサインシステム導入前のものでしょう。手で切り抜いたと思われる文字。

ではサインシステム導入後のものを載せていきましょう。

駅名標

吊り下げ型

壁に設置されていた地上出口誘導標と番線方面標は全て東京メトロタイプに変わってしまい、営団型は見られなくなりました。
なので駅出入口駅名標やホーム駅名標、注意喚起案内などを中心に古いものを探してみました。

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(九段下駅1番線 2018/7/27)

地下駅では珍しい吊り下げ式の営団様式駅名標です。日本語フォントは有名なゴシック4550、欧文フォントはAkzidenz Grotesk(らしい)です。

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(虎ノ門駅2番線 2018/6/17)

虎ノ門の吊り下げ型。ラインカラーで文字を挟むのが吊り下げ型の特徴です。

葛西〜西船橋四ツ谷茗荷谷綾瀬・北綾瀬などの地上・高架駅にあった吊り下げ型は既に消滅しています。

壁設置型

ラインカラー入りの大型と駅名だけの小型があります。前者は駅のリニューアル工事で全く目にしなくなりました。

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(方南町駅1番線 2018/7/19) 〈2018/11/11 撤去確認〉
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(南砂町駅2番線 2018/8/16)
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(日本橋駅3番線 2018/9/5)[2018/9/22 写真追加] 〈2018/10/28 撤去確認〉
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(虎ノ門駅2番線 2018/6/17)
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(池袋駅2番線 2018/11/11) [2018/11/13 写真追加]
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(築地駅2番線 2018/8/16)
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(秋葉原駅2番線 2018/8/16)
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(銀座一丁目駅2番線 2017/7/16)
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(新富町駅2番線 2018/8/16)
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(外苑前駅1番線 2018/9/29)

小型のものは比較的多く残っています。
ちなみに虎ノ門駅のモノはゴシック4550ではなく、TBゴシックが使われています(何故)。

列車接近表示器

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(新木場駅1番線 2018/4/30)

列車接近表示器。列車が接近すると文字が光るだけのシンプルなもの。以前はそこら中の駅で見られましたが、今では新型への置き換えが進んで少なくなりました。何故か有楽町線(副都心線池袋駅含む)で結構残っています。

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(方南町駅1番線 2018/7/19) 〈2018/11/11 撤去確認〉

接近表示器の亜種とも言うべきモノ。接近表示器とは違い、番線表示含めて全て黒地です。

駅出入口駅名標

お次は駅出入口のものを紹介していきます。

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(町屋駅2番出入口 2018/8/16)
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(新橋駅2番出入口 2018/8/10)
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(大手町駅E2出入口 2018/8/4)
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(竹橋駅3b出入口 2018/9/15)[2018/9/22 写真追加]
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(原木中山駅東口 2018/9/5) [2018/11/14 写真追加] 〈2019/2/23 撤去確認〉

駅名、ラインカラー、路線名だけが書かれたシンプルなもの。路線記号と駅番号は民営化と同時に制定されたので後付けです。
竹橋駅のものは路線記号のない原型。

誘導標

目的地の方向を示す誘導標。今では相当減っているので、2018年現在ではあまり見られなくなりました。

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(町屋駅2番出入口 2018/8/16)

矢印が黒地に白抜きなのが営団サインシステム最大の特徴です。このタイプは相当減りました。

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(日比谷駅A9出入口 2018/8/16)

残っているのが不思議なくらいデカデカと張り出されています。色褪せがスゴい。

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(竹橋駅3b出入口 2018/9/15)[2018/9/22 写真追加]
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(新宿駅A10出入口 2018/11/11) [2018/11/14 写真追加]

メトロのロゴが入っている民営化直後型。

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(銀座線渋谷駅1番線側改札 2018/8/16)

渋谷のコレは営団様式なのですがフォントが違うようです。

路線図

以前は柱巻きタイプもあった路線図ですが、現存しているものは階段などに設置されている横に長いものだけとなりました。

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(茅場町駅1番線側東西線連絡階段 2018/8/31)[2018/9/2 写真追加]
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(原木中山駅 2018/9/7)[2018/9/22 写真追加] 〈2019/2/23 撤去確認〉
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(神楽坂駅1番線 2018/9/7)[2018/9/22 写真追加]

最近めっきり減った営団タイプの路線図。今はデザインを踏襲してフォントなどを変えたメトロタイプの路線図が主流です。

「地下鉄」

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(交通会館 2018/1/14)
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(大手町駅A4出入口 2018/8/4)

誘導標・駅名標の一部。民営化以前は全駅の出入口看板で見られたフォントですが見なくなりましたね。

その他

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(霞ケ関駅コンコース 2018/8/16)

地下駅特有の「漏水に気をつけろ」ってだけの案内板。これはそこそこ見かけますね。改札の端に佇んでるのを目にします。
遠目でも何か注意してほしい事なんだなと分かるデザイン。

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(町屋駅1番線 2018/8/16)

駆け込み乗車への注意喚起。

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(町屋駅 2018/8/16)

構内終日禁煙のサイン。「帝都高速度交通営団」の上から「東京地下鉄株式会社」を貼ったものです。

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(日比谷駅4番線 2018/8/31)[2018/9/2 写真追加]

「ここらへん混むしちょっと進んでほしい」のサイン。

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(日本橋駅3番線 2018/9/29)[2018/11/14 写真追加]

「ここらへん混むしちょっと進んでほしい」文字だけVer.


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(北千住駅1番線 2018/8/16)[2018/9/2 追加]

3列乗車。

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(池袋駅2番線 2018/11/11) [2018/11/13 写真追加]

4列乗車のものも発見。

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(原木中山駅2番線 2018/9/5)[2018/9/22 追加]

待合室。

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(築地駅 2018/8/16)

エスカレーターの注意喚起サイン。これはあまり見かけないような気がします。

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(荻窪駅 2018/9/5)[2018/9/22 写真追加]

駅施設ご案内。券売機のピクトグラムが設置された時代を物語ります。

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(茅場町駅9番出入口 2018/8/31)[2018/9/2 追加]

あのフォントの「地下鉄」と赤い矢印、SUBWAYの文字。
今でも一部駅のコンコースで現役です。

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(茅場町駅9番出入口 2018/8/31)

こちらは「出口」
少し前までよく見かけた気がします。上の「東京メトロのりば」のサインは営団時代のものではないものの、ラインカラーが無い珍しいタイプです。

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(霞ケ関駅 2018/8/16)

真横にメトロ様式サインが出てるのに何故か今でも置かれている古めのサイン。

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(永田町駅 2018/8/6)

同じく古いもの。サインシステム準拠かどうかは微妙ですが一応載せておきます。

終わりに

以上、この記事を書いている時点で現存している営団時代のサインを載せてきました。
東京メトロでは2020年を目処に全駅のサインを新型に置き換える計画を進めているようで、これら現存しているものも近いうちに消滅しそうです。
こう見てみると白地の旧サインの方が見やすいのかななどと思いますが、案内表示の多言語化に追従する形でサインそのもののデザインも変えていくのが世の流れなのかもしれません。